〜直近のサンフレッチェ広島〜
8節福岡戦を振り返る。
福岡はとにかくも今季新加入のイラン人ストライカー、シャハブザヘディ(187cm)目掛けてボールを供給。ザヘディが競り合った後のセカンドボールを奪い攻撃をする。「広島のハイプレスを防ぐ」という意味でもこのロングボール作戦が有効であるので、福岡の攻撃は交代で退くまで”終始ザヘディ”であった。
試合はザヘディに先制点を決められる。が、すぐにキャプテンの同点ゴールで嫌なムードを払拭してからは広島のリズムで試合ができていたとは思う。”ザヘディ”の点を取りそうな雰囲気は存在し続けてはいたが。
内容的には勝てた試合であったが、アウェイで追いついてのドローということで最低限の結果。今季これで引分けが4試合目。神戸戦以外は勝てる試合であっただけにもったいない。優勝するには、「勝ち切ること」が当たり前だが重要。つまり得点力のUP。
ミラーゲームの戦い
3試合連続のミラーゲームとなった今節。「普段の練習の紅白戦はミラーゲームになるから慣れている」そんな言葉が広島の選手から聞こえる。確かにマンツーマンのハイプレスが信条の広島にとってはマークする相手が分かりやすいのはもちろん、ミラーで来たらこう崩すみたいなイメージの共有ができているので上記のコメントが出たと推測する。直近の試合でも相手からのプレッシャーがあるにも関わらずスムーズなコンビネーションプレーで前進する場面もあったのでそう思った。
以下は広島と福岡の基本配置、マンツーマン。
ウイングバックからフォワードも ”斜めのグラウンダーパス”
G大阪戦でもよく見られたが、ウイングバックがら前線の選手に斜めの角度でグラウンダーパスを供給するシーンが増えた。特殊な戦術ではなく「これでいくぞ」みたいな堅苦しい話ではない。後方から走って攻撃に加われる松本泰志のような選手と、前線にキープでき且つフリック等の小技も上手い選手(=大橋、ピエロス、加藤)が揃っていることで、この辺のパス回しの成功率は今季はUPしているなと肌感覚で思う。特に8分30秒くらいのシーンは越道がボールを持った瞬間に、加藤・大橋・松本の3人のビジョンが共有されていて良いプレーだと思った。
上記場面では味方の選手が動くことで生まれるスペースを連続して有効に使うということができていた。これぞスキッベ広島の攻撃と言った感じ。
また、この”前方斜めに入れるプレー”はどちらかと言うと左サイドの東からが多い。右サイドで新井が出る場合もこういうパスとコンビネーションで崩すシーンが増えそうだ。
組み立て時の「プラス1人」
マンツーマンでマークされると、自分の近くにすぐ相手がいる状況となるので、パスやドリブル等思い通りのプレーが難しくなる。対峙する相手との力関係によるが。
以下、マンツーマンでマークされる状況で広島がボール保持し前進を試みる場面で、味方の選手が「プラス1人」多くなる状況を作り出すことができた。
前線の加藤が1列落ちて中盤で数的優位の状況を作った訳だが、加藤の動きに対してマークしていた井上が何故ついて行けなかったのか。
井上はこの試合では終始加藤をマークしていて、加藤が一列落ちても激しくチャージしていたが、松本の効果的な攻撃参加によりピン留めされた形となったから。
さいごに
冒頭にも書いたが今節は「勝てる試合」であったと思う。福岡のシンプルに強力なFWにボールを供給する戦い方に確かに”一発を受ける”可能性があったが、広島の方がやりたいサッカーを実現していたように思う。引かれたマンツーマンDFに対して可能性を感じる攻撃ができたので、そう思う。
選手のプレーについて、まず中野。相手の強力FWに対して十分戦えていて競り合いではほとんど負けておらず、時折見せるシャドーへの縦パスは荒木にはない武器だなと。
加藤が不調というか、動きはいつもの加藤だが、味方とのほんのちょっとの”ズレ”が多かったと思う。気持ちの問題かもしれない。はやく得点がほしい。
控えで入った志知に関しては少し厳しい内容だった。志知は左足のクロスボール特化型の選手であることは周知なはずだが、コンビネーション狙ったショートパスを出し失う場面が何回かあったので、クロスの受けて大橋ピエロスが揃うとき以外は難しいなと思った。