先週の土曜日、味の素スタジアムにFC東京対サンフレッチェ広島の試合を観に行った。
去年の8月以来のサッカー観戦。今回はゴール裏で声を出す応援スタイルでの観戦。試合は見づらいがこれはこれで楽しい。そしてスタジアムに入って徐々に露わになる広大なピッチとスタンドが目に飛び込んでくるときの高揚感は何ものにも代えがたい。
普段「スタグル」というものを食べないのだが開門前に到着したこともあり買ってみた。味付けは見た目に反し控え目で素材の味を活かす方向性。フライドライスに鶏肉、餃子、温玉の3トップに少し甘めのソースでエスニック風味。これだけで”間違いない”のだが重要なのが「たくわん」の存在。和風な風味と歯ごたえが効果的で、まるで試合終盤に投入されたエゼキエウのような味変。こってり仕上がった口の中を一変させた。美味しかったのでまた食べたい。
今日は下記から早速サンフレッチェ広島のことについて書く。
vsFC東京の試合はと言うと、69分に広島が先制するも直後にFC東京も得点。結果的に1-1のドローで試合終了。広島としては前半から試合の主導権を握り先制点を奪っただけに「もったいない試合」という印象。残念だ。
試合後の広島川村のコメントで気になるものがあった。
「自分のパスミスから失点した」という趣旨のコメントを残した。彼の”パスミス”からカウンターを受けたため、失点の起因となったのは事実。攻め上がった広島の左サイドをFC東京に突かれクロスから荒木遼太郎の技ありシュートで失点した。
”パスミス”は技術的な問題ではあるのだが、そもそもサッカーというスポーツはミスの発生が前提にあるスポーツ。プロ野球選手がド真ん中のストレートを毎回はホームランにできないのと同様に、サッカー選手が”決定機”を外すこともあるし足元へのパスがズレることもある。
では今回の失点に関してはその「ミス」起因によるものなので仕方ないか、というと、それは違う。そもそも難易度の高い前方へのパスをしなければよかったと思う。難しいパスを出さない限りミスは起こらない。(ミス0では無いがミスの確率を下げることができる)
広島はチームとしては奪って早く攻めることを共通認識としているので、川村自身も早く前線にパス送る必要があると考えるだろう、受け手の東もパスを受けるために早く前線へ駆けあがる。そしてトレードオフで自身の守る後方のスペースを空ける。
今回失点という形で晒されることとなったのは、早いカウンターを仕掛けた際のミスが一気にピンチになることだ。カウンターをミスしてカウンターで返されて失点してしまうという何ともお粗末な形。オープンな殴り合いにリードしているチームが参加してしまったことこそ反省点ではないか。
思えば23シーズンのFC東京戦ホームゲームの2失点目も同じような位置でパスをカットされカウンターを受けサイドで人数が足りず失点をしてしまったが、今節はリードしている場面で他の選択肢もあった中での不用意な失点であったので思いを綴った。
話を変えて、良かったところ。
試合は広島がサイドの数的優位を活かし何度もクロスを供給した。広島は攻撃時にサイドの選手が1人余る状況を作り出させていた。
「5トップで攻められた場合4バックで守る場合は苦労する」という通説みたいなもので片付けてしまえば良いのかもしれないが、自分なり整理しておきたいので以下書いておく。
東京はサイドバックの選手が広島のインサイドハーフの2人(加藤・大橋)をマークする場面が多く、ウイングバックの東と中野にはマークが甘くなる状況が続いた。広島はピエロスを中央に、加藤と大橋をハーフスペースで構えさせられることがこの状況を発生させている要因だと思う。動き回らずそこにいることで脅威を与える。特に加藤の動きを注目して見ていたが、以下のように「マークを迷わせる位置」つまりセンターバックとサイドバックの間でピエロスのラインから1枚落ちに位置取ることが多くあった。
【加藤の動きにより起こっていたこと】を図の中に書いたが、その動きの助けもあり、5トップ風味に広島の各人がうまくレーンを埋めてパスコースを確保すると、東京はゴールに近い中央を固めるので広島のサイドが1人余るという構造に。試合通して広島は圧倒的な数のクロスボールをサイドから供給することができた。
またこの「クロス攻撃」は以前記事で書いた23シーズンの可能性の低いクロス攻撃とは違い、ピエロス・加藤・大橋の3枚がターゲットとして中央で構えるため得点の期待値がグッと上がる。(前節も早速点が入ったし。)シンプルだが今の戦力に合った効果的な戦術であると思う。
もう一つある。スキッベ監督がプレシーズンマッチから毎試合言い続けている言葉「相手ディフェンスの裏を狙え」。今節も特に前半はシンプルに加藤や大橋を走らせ裏のスペースを狙ったパスが多かった。点が取れそうなシーンもあった。その裏を狙う意図としては背後へのパスがゴールに直結しなくても深い位置まで相手ディフェンスを押し下げることができ、相手ボールなった瞬間に広島ハイプレスを仕掛けることができること。またその背後へのパスを警戒し相手ディフェンスラインを慢性的に押し下げることができれば、今節のように押し込めることにも繋がる。
最後(まだあるんかい)、配置的に相手の荒木遼太郎へのアプローチはどうする?と試合前に思っていた。と言うのは23シーズンの2節vs新潟戦の前半に伊藤涼太郎(現シン・トトロ)をフリーにして好き勝手やられ、そのときの新潟に対しハイプレスの掛け方が以下の図の通りで伊藤を捕まえられず機能不全で前半2失点した。(あのときは新潟のチーム力にやられたと言ってもいいけど)今節のFC東京の配置と荒木遼太郎の役回りがあのときの新潟の伊藤と似てる気がしたから。
結果は荒木には満田がしっかりマークについていた。荒木には何もやらせなかったのではと思う。プレスの掛け方も整備されていて無理やりキーパーまで詰めて後方でフリーな選手を作ることもなかった。しっかり加藤(または大橋)が相手ボランチまで落ちてマンツーマン。
最後の最後、広島の弱点はまずハイプレスが嵌らないことにあることは前の記事に書いた。それに加えて言うと、速いドリブラータイプのウイングがピッチ広く使って攻めてくる状況も苦手としている。(今期で言うと浦和、横浜FM、C大阪、川崎あたりかな)広島の3バックは強く守備範囲も広いが瞬間的なスピードがある訳ではないので1vs1で勝てない状況が想定される。また多くの場合相手がピッチの幅を広く使っての3トップになるため、3バックがマンツーマンで対応できない場合ワイドバックが引かざるを得ない。中途半端に前から行くという意識の状態でディフェンスラインに吸収されると、、良い絵が浮かばない。
では苦手克服はどうするか?
個人的には森保監督時代のような5バックで引いて守る守備戦術を整備することが良いと思う。上記の苦手克服のためでもあるが終盤のclose戦術としても。
「if もしも」今節でリードした場面で5バックで引いて守っていたら?
- 交代で入った突破力のある選手に仕事をさせない。(ドリブルするスペースが消える)
- FC東京に引いた相手を崩すパスワークはまだない。
- FC東京の前線に高さのある選手も豊富ではない。
- 広島も交代ブラジリアンで味変できる。(引くだけでなく少人数で攻撃完結する選手がいる)
絶対うまくいってたと思うよ。
長くなってしまったが、まとめておく。
今節の失点は技術的なミスで片付けるのではなく奪って早く攻めるというチーム哲学を状況によっては変えるべきで、ハイプレスやボール保持して攻撃する際の5トップで押し込む部分は前線3枚の力で整備され課題であった得点力不足も改善の兆しがある。あとはオプションとして守備戦術(5バック)の整備すればシーズン優勝も見えてくるのでは?あと加藤陸次樹、まじで良い選手。
来週からは月曜更新にしようか。(次回リアルタイム観戦できるのはいつになるやら)
ディエゴオリベイラ、上から見ても、下から見ても、ディエゴオリベイラ